以下の自治会長声明文は、当時第144期自治会長であった金子氏が規約第13条第2項第一号に基づき本年3月31日に意見として発出した自治会長声明です。
HPへの反映が遅れましたことを深くお詫び申し上げます。
なお、自治会長のみならず、学生自治会理事会も、後期課程自治会再建に協力する方針を現在取っております。
2022年3月31日
統一学部選挙実施による各後期課程自治会再建の呼びかけ
東京大学教養学部学生自治会
第144期自治会長 金子健
COVID-19の感染拡大をうけ、大学当局による一方的でかつ不当な処置が次々に行われた結果、学生生活は著しく制限されました。2年もの年月が経過した現在、ようやく少しずつではありますが元の生活が戻ろうとしています。
教養学部学生自治会はこの2年間、学生生活に対する制限の解除を訴えてきました。教養学部が元の授業形態・学生生活に戻すことを決定したのは、オンライン生活の長期化に対する学生の不満を大学当局が無視できなくなったことによるものであり、現在、非常に学生の声が高まっていることの証左と言えるでしょう。
そうした状況下において、教養学部学生自治会第144期自治会長として後期課程学部自治会の再建およびそれに伴う選挙の合同の実施、ならびに中央委員会の構成員の復活を呼びかけます。
それは、教養学部学生自治会理事・自治会長として経験を積む中で、学生自治の重要性、特に現在それを強化することの緊急性を強く認識したからです。
学生自治とは、学生を大学から指示を受ける客体ではなく、大学を構成する主体としてみなすということです。これはつまり、学生のための大学を作るということであり、学生の自由を押し広げるということであり、学生にとって快い空間を作り上げるということです。
私は、2020年度に入学しました。入学してまもなく駒場にやってくると、駒場の正門は固く閉ざされていました。コロナを理由にしたキャンパス封鎖のためです。明るく咲き誇る桜と、冷たく閉ざされた門の、非常に強いコントラストは、今もありありと覚えています。私は混乱しました。「なぜ、私は大学に拒絶されなければいけないのか?」
それからは、オンライン授業続きで運動不足になるため、毎朝自転車で駒場まで行って帰っていましたが、当然ながら、何度行っても門は閉まっていました。ときどき、中の様子を覗けないものかと通用口から顔を出すと、守衛に怒られました。そもそも、入学式もオリエンテーションもやっていないのだから、大学に入れてもらえるわけがないという考えは、異様に説得力のあるものでした。
2ヶ月ほど経つと、キャンパスの封鎖が解除されました。奇妙な入構申請を守衛に見せることで、私たちはキャンパスに入れるようになりました。キャンパスを歩いても、人はほとんどおらず、自分のキャンパスなのに、見知らぬ土地に迷い込んだかのような感覚がいつまでも拭えませんでした。
学生を歓迎していない大学の風景、学生のものではなくなった人のまばらなキャンパスの風景、この原風景が、私を学生自治にいざなってきました。
このような風景を見る学生をもう出したくないし、何より、この原風景は、私が大学で生きていくうえで、否定しなければならないものでした。
それから2年かかって、桜はあのときと同じだけれども、学生は駒場に戻ってきました。学生の声が、コロナにより学生から奪われたキャンパスを、再び奪還したのです。
一方で、コロナ前からの問題、すなわち、学内の意志決定プロセスに学生が関わることができないため、学生は当局から一方的に命令を受けるか、あるいはその厚意に与って生活していくしかないという問題は現在も解決しておらず、「学生のためのキャンパス」という構想は道半ばです。
しかし、2年前と今の駒場とを見比べれば、学生自治というものがいかに大きな意義を持っているかが分かるでしょう。そして、学生の力によって大学は変わるということが分かるでしょう。
コロナを理由とした制限の強化のプロセスにおいて明らかになったのは、東京大学全体において、学生の声を代表する団体が欠如しているということでした。
第一に、後期課程の学部の多くは、かつて存在した自治会がその活動力を失い、事実上自治会が不在のである状態にあります。歴史的に学生自治会は学生を代表して学部との交渉や協議に臨んできた組織です。こうした組織の活動が止まっていることが、学生不在で物事を決めていく大学当局の姿勢を助長してきたといえるでしょう。
そのうえで、第二に、学生生活に関わる問題は学部レベルだけでは決まらなくなったという状態にも手を打つべきだといえるでしょう。現在、総長および総長の裁定するタスクフォースが全学的な意思決定の中心となっており、学部への要望がほとんど意味をなさないという状態が生じています。かつては、各学部の学生自治会の代表から構成される中央委員会と呼ばれる組織が、総長との全学的な交渉を行っていました。各学部の決定権が低下した現在こそ、各学部自治会を同時的に再建し、中央委員会を再開させることが重要だと考えます。
自治会を再建し、そのような学生自治を促進することは、後期課程にはびこるハラスメントを始めとする深刻な問題の解決や、大学ファンド構想における学生の不在の問題の解決、さらには過去問の収集などの相互扶助の促進につながります。
こうした背景から、教養学部学生自治会は、後期課程の再建活動を支援する方針を決定しました。多くの後期課程自治会は、解散したのではなく執行部不在という状態であり、学部便覧にもその自治会規約は残っています。そのため、正副自治会長をはじめとする執行部員を再び集めることで再建することが可能です。ついては、具体的な後期課程自治会の再建にかかる方策、および支援策としては、次のようなものを想定しています。
1.各学部学生自治会の自治会長選挙の日時を合同とした開催(統一学部選挙)の実施
2.各学部において同時多発的に選挙を行う、「統一学部選挙」における教養学部選挙管理委員会のサポート(教養学部選挙において使用実績のあるシステムの使用・選挙広報の支援・投票業務のサポート)
多くの自治会規約において、正副自治会長の選挙期間は10月〜11月ごろと定められています。10月〜11月にかけての選挙の実施を目指して、後期課程自治会の再建に賛同し、再建自治会における執行部か選挙管理委員会の中核となってくださる方を募集します。
ご関心をお持ちの方は、以下のメールより本会にご連絡ください。
教養学部学生自治会 後期課程自治会再建担当 komaba(at)todaijichikai.org
ご学友と事前に相談いただき、2人以上のグループごとにご参加・ご連絡をいただけるとスムーズですが、1人でのご連絡も歓迎いたします。