6月21日「総長対話」以降の本会の対応

1. 授業料値上げに関する情報

  • 現在の授業料(学部・修士課程)は年間53万5800円であり、これは文科省が定める「標準額」と同額(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令第2条)です。
  • また、博士課程の授業料は年間52万800円です。
  • 文科省は、各国立大学が独自に「標準額」から最大で20%まで増額できることとしているため、学費は最大で年間64万2960円まで引き上げることが可能(同10条)です。
  • 東大本部が6月21日の「総長対話」で示した「案」は、学部・大学院(修士課程及び博士課程)の授業料をいずれも年間64万2960円に引き上げるもので、値上げは導入年度の入学者から適用されるとされています。
学種現在の授業料改定後の授業料値上げ額
学部・修士課程・専門職53万5800円64万2960円+10万7160円
博士課程52万800円64万2960円+12万2160円
法科大学院80万4000円±0円
  • 同「案」は、学費減免措置(参照:「学費免除申請のしおり」)の対象とその家計基準(学力基準は据置き)について、以下のとおり改め、措置を拡充するとしています。また、博士課程生への経済的支援の充実も予定しているとのことです。
 対象学種家計基準減免の内容
現行制度学部学生世帯年収400万円以下授業料全額免除
授業料改定後学部学生、大学院生世帯年収600万円以下授業料全額免除
世帯年収600万円~900万円多子状況等を勘案した一部免除

2. 「総長対話」の結果

「総長対話」について

  • 「総長対話」は、6月21日、「総長と授業料および東京大学の経営について考える」と題して、Zoom Webinar 上で実施されました。
  • 司会は河村副学長が務め、大学側からは総長、相原理事・菅野理事・藤垣理事・森山理事(いずれも発言なし)が参加し、学生側からは約500名が参加しました。
  • 「総長対話」は、総長からの授業料値上げ検討についての説明があった後(15分程度)、学部生6名、大学院生7名がそれぞれ数往復の質疑応答を総長と行う「対話」が行われ、最後に総長の「まとめ」発言がありました。
  • 「総長対話」に際しては、1週間前に「参考資料」が公表されましたが、これは既に公表されていたデータを寄せ集めたものにすぎず、値上げ検討案は「総長対話」冒頭で初めて学生に知らされました。

「総長対話」駒場PV後集会の様子

「総長対話」発言録の公開

本会学部交渉局が作成した6月21日の「総長対話」の発言録を公開します。
リンク:https://drive.google.com/file/d/1-VVa1CdvIj16TGcdsmOcvJpODZKc9bMT/view?usp=sharing

なお、この「総長対話」は録音・録画が禁止されていたため、発言内容の記録には正確を期したものの、事後的な記録の検証が不十分であったことから、発言録の内容が完全に正確であることを担保することはできませんのでご了承ください。
また、この発言録の内容については、大学本部に確認をとって正確性の同意を得たものでもないことにご留意ください。

「総長対話」で分かったこと

検討中の「案」

  • 学部・大学院(修士課程、専門職、博士課程)の授業料は、いずれも年額64万2960円に改定し、改定は導入年度の入学者から適用されること。
  • 経済的支援を拡充し、学費減免措置の家計基準を世帯年収600万円以下の学部学生・大学院生に拡大して(学力基準は据え置き)これを全学授業料免除とし、年収600万円から900万円までの学生についても、多子状況等の個別事情を勘案した一部免除の制度を設けること。
  • 博士課程生への経済的支援を充実すること。

授業料値上げ検討の背景

  • 運営費交付金の減少(東京大学への交付金のみならず、国庫の支出総額についても)。東大についてはここ20年で16%の減少。
  • 設備の老朽化、物価上昇、光熱費等の高騰、人件費の増大などへの対応の必要性。
  • 既に支出抑制努力は行い、2024年度は前年度から25億円を削減(部局配分予算16億円削減、全学事業(本部予算)6億円削減、総長裁量経費3億円削減)。
  • 例えば2024年度は、体験型教育プログラム・学生生活/課外活動支援/オンキャンパスジョブの拡充を断念し、TA(ティーチング・アシスタント)/RA(リサーチ・アシスタント)の単価増は実施を見送り、施設の維持管理修繕にも一部実施が見送られたものがあった。
  • 「教育環境の改善は待ったなしであり、」「この状況を一刻も早く改善したい」。
  • 「あらゆる方策が検討されるなかで、基盤的な収入である授業料についても、その改定の必要性が浮かびあがってき」た。
  • 教育のための予算は「基本的に」運営費交付金と授業料から拠出することになっているため(研究目的で外部から得ている資金は教育のためには利用できない)、交付金が減っている以上授業料を値上げする必要がある。また、教育に充てられるような目的の寄付金集めも行っていく。

値上げによる増収分の使途

  • 教育費に用いる。例えば、D&I、グローバル化、DX、GXなどの推進などに用いる。
  • 今後、TA/RAの単価をあげることを目指す。

今後の検討プロセス

  • 今後再び総長対話を行うことは、「いろいろな準備が必要で、タイミングの問題もあ」るため、「しっかり考えて」いく。
  • 学部の値上げについては、一般に、翌年度からの値上げを行うためには、受験生が志願先を決める年末には「遅くても」決定しなければならない。

3. 教養学部学生自治会の対応

安田講堂前集会の開催

6月28日、13:00~安田講堂前で「授業料値上げに抗議する学生集会」を開催しました。約40名の学生が集まり、希望する学生が授業料値上げや、一連の警察力導入など反対運動への大学側の不誠実な対応について抗議のスピーチを行いました。

安田講堂前集会でスピーチする本会学部交渉局長

今後の授業料値上げ検討についての要望書の提出

本会理事会は、「総長対話」が学生の満足できるものではなかったことを受けて、今後継続されるであろう授業料値上げ検討に際して要望書を提出しました。要望書では、これまで示された学生の意見に対して真摯に向き合うことや、今後より詳細な情報を開示するとともに、学生代表との総長交渉の場を設けて交渉に臨むことを要望しました。
要望書の全文はこちら

値上げ公表見送りに際しての声明の発表

7月3日、朝日新聞の報道によって、大学本部が当初予定していた7月中旬の募集要項発表と同時の授業料値上げ公表を見送ったことが明らかになりました。よって、内外に向けて次のような声明文を発出しました。

報道によって、当初想定されていた7月中の授業料値上げ公表は見送られることが明らかになりました。これは、5月以来の本会の活動の成果であるとともに、志を同じくする学生の皆さん、教職員その他の皆さんの意見表明の結果であると考えています。
私たちが声をあげることが無駄ではないと立証されたのです。
しかし、大学はまだ学生の意見を無視して授業料値上げを行う可能性があります。本会では、秋ごろを一つの節目と捉えて、「総長交渉」の実現要求など、学生の意見を大学の意思決定に反映するために必要な取組みを行います。
そしてこれは、今後の授業料値上げ検討あたっての要望書の提出によって、既に始まっています。本会の活動に、今後ともご理解とご協力をいただきますよう、お願いいたします。

 

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