第147回第2回自治委員会にて、以下の「ガザにおける人道危機に関する決議文」が承認されました。

決議文


先般よりイスラエル政府によって行われている、イスラエルを攻撃したハマースのせん滅を目的としたとされるガザへの地上侵攻はいかなる民族浄化をも許さないという、国際社会がこれまで築き上げてきた理念に対する挑戦であり、到底許されるものではない。
イスラエルの閣僚によるパレスチナ人を「人語を解する動物(human animal)」とする発言や、核兵器の使用について示唆した発言などから鑑みるに、イスラエル政府はパレスチナ人民が人間らしく、平和のうちに生存する権利を一切認めないばかりか、これを蹂躙することを是とする立場であることは明白であり、否定しえないものであると考える。
また、イスラエルによるガザ地区の空爆は、民間人の居住地域のみならず、難民キャンプや病院、さらには学校・大学までもを標的としており、これは明らかに学問の自由を含めたパレスチナ人民の諸権利を踏みにじるような行為であるということができる。
本会は、東京大学で学び活動するすべての教養学部前期課程生を代表して、イスラエルによる民族浄化を強い言葉を以て非難し、即時的な行為の停止を求めるとともに、平和を希求する全てのパレスチナ人民への連帯を表明する。
1969 年に学生と大学当局の間に結ばれ、東京大学の全構成員自治の精神を定めた東大確認書には、「大学当局は、大学における研究が資本の権利に奉仕するという意味では産学協同を否定するものであることを確認する」とある。これは、東京大学での研究は特定の組織のためだけに行われるものではなく、社会全体に奉仕するものであるということを示したものである。
また、東京大学憲章に、「東京大学は、研究が人類の平和と福祉の発展に資するべきものであることを認識し、研究の方法および内容をたえず自省する」とあり、東京大学の構成員たる我々はこの理念の実践に邁進することが必要である。
パレスチナ人民への連帯を形作ると同時に、学問の自由を擁護して平和な社会の形成のため学習、研究を続けることを強く呼びかける。

当該議案を発議いたしました、自治会長のガリグです。本会会員の皆様の間では当該の問題について様々なご意見があるかと思われますが、現在パレスチナ地域で繰り広げられている凄惨な出来事を目にして、自治会長という立場から何か出来ることはないか、と考えた上で当該議案を発議させていただきました。
本決議文にはイスラエル政府を非難する趣旨が盛り込まれていますが、これは何もハマースによるテロのために日夜不安に脅かされるイスラエルの人々に宛てたものではありません。本会として、東大確認書に記載の内容を踏まえ、社会全体に奉仕する構成員の集団として、平和を希求するすべてのパレスチナの人民との連帯と学問の自由を擁護して平和な社会の形成のため学習、研究を続けることを呼び掛けた文書になります。
当該地域に深いかかわりを持つ本会会員の方々におかれましては、この侵攻により様々な影響を被ることがあるかと思われます。当決議文を足掛かりとした上で、本会として何をすることが適切かを見極め、必要に応じて対応を講じていきたいと思います。